北海道のブラックアウトについては、多くの専門家やメディアが原因について言及しています。残念ながら、多くが必ずしも正確ではありません。本HPでは苫東厚真発電所の緊急停止に伴う周波数低下があまりに大きく急激で、ブラックアウトはやむを得なかった、とお伝えしました(北海道ブラックアウト)。
その後、新しい事実が判明しつつあります。
北海道電力によると、9月6日午前3時以降、5分ごとの需要は以下の通りでした。
3:00-3:05 292万kW
3:05-3:10 279万kW
3:10-3:15 188万kW
3:15-3:20 193万kW
3:20-3:25 181万kW
3:25-3:30 143万kW
3:30-3:35 36万kW
これをみると地震発生後、直ちに全道ブラックアウトに至らず、20~25分程度は部分的に供給を続けていたことが分かります。余談ですが、一部報道によると、地震後20分程度、電気が点灯していたとの道民コメントがあり、上記の需要動向と符合します。
なぜこうなったのか、北海道電力がいずれ詳細を発表すると考えられますが、ここでは推測をしてみましょう。
第一に苫東厚真発電所の3機(合計165万kW)は地震直後に全機停止せず、例えば1機は持ちこたえた可能性が高いと考えられます。3機同時の停止でなければUFR動作による負荷遮断により、一部の供給を継続することは可能だったのではないでしょうか。
第二に北本連系線は地震発生とほぼ同時に、60万kW供給(東北→北海道)を開始した可能性があります。地震直後に負荷遮断された地域によりますが、仮に北海道西域に供給が継続されていた場合、北本連系線はその機能を果たした可能性があります。
第三に苫東厚真発電所は地震発生後、20分~25分後に全機停止したと考えられます。これにより道内の周波数が低下し、全道ブラックアウトに至ったということでしょう。
以上は大胆な推定ですが、一定の蓋然性があると思います。苫東厚真発電所が段階的に停止したことは数値からみて間違いないでしょう。一連のプロセスでUFRの開放・投入動作が適切であったか、結果的に全道ブラックアウトは回避できなかったのか、北海道電力の分析が待たれます。