関東甲信越地方では6月29日に梅雨明けし、日本列島は7月に入り猛暑に襲われています。このため冷房需要の増加で電力会社では最大電力の更新が続いています。
関西電力では7月18日、14~15時に最大電力2,856万㎾を記録しました。ひっ迫した需給状況を改善するため、同社は電力広域的運営推進機関に融通受電を依頼、16~17時に100万㎾を5社(東京電力パワーグリッド・中部電力・北陸電力・中国電力・四国電力)から受電、供給力3,015万㎾を確保し、厳しい需給を凌ぐこととなりました。
猛暑のため、一般には冷房需要が増加する14~15時の電力需要に関心が集まりがちですが、関西電力が融通受電を依頼したのは16~17時でした。これは太陽光発電の出力増によって最も暑い時間帯のピーク需要が相当程度、賄われていたことによります。現実に電力会社が供給力不足に悩む時間は太陽光発電の出力が低下する夕方にシフトしつつあります。
このことを如実に表すのが卸電力取引所のシステム価格の動向です。7月18日のシステム価格を振り返ってみましょう。午前10時頃には12~13円で落ち着いていましたが、11時台には18円に上昇し、昼休みをはさんで13時~15時は25円台に続伸しました。この後、16時と16時30分に29円台へ急上昇します。その後、17~19時に25円台に下がることとなりました。
これらの価格推移から、電力会社が需給ひっ迫で最も困っていたのは、16時台であったことが分かります。太陽光発電の増加により、夏の電力需給がひっ迫する時間帯は夕刻へシフトしつつあります。九州電力ではすでに18時~19時の電力使用率が90%を超過する日が続いています。太陽光の普及が進んでいる九州の需給状況は未来の電力需給を暗示しています。
遠からず夏の需給ひっ迫は日の入り後に発生する時代が来ることになるでしょう。
私たちはこのような未来に備えておくことが必要です。一例を上げましょう。7月18日、関西電力は15時~18時に30万㎾の需要抑制を依頼したと報じられています。デマンドレスポンス契約に基づく、このような需要抑制はいずれ18~20時にシフトしていくでしょう。したがって産業界ではなく、むしろ家庭用・輸送用需要のデマンドレスポンスが求められる時代がすぐそこに来ているのです。