一般担保廃止と資金調達

25年3月の一般担保廃止

電力会社(旧一般電気事業者)の一般担保廃止がいよいよ25年3月に迫ってきました。

一般担保とは電力会社が発行する電力債に対して、起債者である電力会社が保有する資産全般を担保に設定するものです。

本制度は社債権者に対して、資金回収にともなう事実上の優先権(先取特権)を付与するもので、これにより電力債の利回りを一定程度、抑えることができたと考えられています。

 

格付けはどうなるのか?

この制度が3月に廃止されます。当面のポイントは4月以降の電力会社の格付けランクが、どの程度の影響を受けるのか?でしょう。

一般担保廃止が格付けのダウンサイドイベントであることは明らかです。ただその影響度合いは会社によって異なるでしょう。

すでに関西電力が11月に実施したエクイティファイナンスに象徴されるように、電力各社は資金調達の多様化を開始しています。

客観的にみて、このような取組みが奏功する会社と、必ずしもうまく行かない会社とが混在します。

原子力の再稼働が進んでいる、関西電力、九州電力などは資金調達に大きな問題は生じないでしょうが、原子力安全投資の負担や託送料金レベニューキャップ制度における事業計画上の投資・修繕計画の遂行などに悩まされている会社にとっては、一般担保廃止が強いインパクトとなる可能性があります。

投資適格(トリプルB)を維持できるのか、否か、が大きなポイントになるでしょう。

すでに投資不適格リスクが顕在化しつつある会社もあるようです。

 

資金調達コスト上昇が電気料金値上げにつながる可能性も

資金調達コストの上昇のみならず、キャッシュを回収する手段として、電気料金値上げを模索する会社も出ています。

化石燃料価格が比較的安定している現時点で、このような行動に出れば、市場シェアを失うことは確実です。

信用力の格差が電気料金、ひいては市場シェアに直接影響する局面に入ったのです。